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諦めていた腐敗病の蔓延から奇跡の回復。加賀野菜を代表する質のいいれんこんづくりを極める。

加賀れんこん 
本さん

伝統技法の「くわ掘り」を継承。肉厚で身の詰まった加賀れんこん

金沢の小坂地区と河北潟の干拓地で「加賀れんこん」と呼ばれるれんこんを育てています。加賀れんこんは、肉厚でギュッと中身が詰まっているのが特徴。粘り気もあるので、すりおろして味噌汁に入れると、団子のようになりとてもおいしいんですよ。

れんこんはそれぞれの土地により収穫法が異なります。小坂では伝統的な「くわ掘り」というやり方で掘っています。河北潟は一般的な「水掘り」で行っていますね。

 

腐敗病で撤退を検討。一本の電話が田んぼを救う。

『国際有機公社』との出逢いは、今から18年前くらい。知り合いから今の会長、つまり吉田さんのお父さんを紹介してもらったんです。この頃うちはちょうど河北潟の田んぼが腐敗病に侵され、5反あるうちの1/3が地力を落としてしまっていたところだったんです。

先代からは「農法・作業は見て盗め」とずっと言われてきたので、本当に困りましたよ。県の普及員などにも相談したけど、被害の範囲は広がっていくばかり。もう河北潟からは撤退しようとも考えていました。

「だまされたと思って一度国際有機公社へいって話を聞いてこい」と、見かねた知り合いから言われたことがきっかけで、国際有機公社に電話をしました。「今まで使ってきた資材を持ってきて」と言われたので、すぐに資材を持って行ったんです。

 

1年後に奇跡を起こした土壌診断と「ポーマン」

実際に資材を見た会長は「これもいらん、これもいらん」と言うんです(笑)。その後「1年で田んぼを直すぞ!」と言われたのだけど、正直「どうせ資材を売る戦略だろう、ただの売り文句だな」と思ってました。

なにせ勧められた資材は、これまでの三倍以上ものコストがかかるものだったんですから。まぁ健康な田んぼが3枚あったので「1枚分の田んぼだけ、だまされたついでに使ってみるか」と思い、初めて「ポーマン」を使い始めました。

病気になった田んぼは父に任せていたのですが、1年後、なんと父の方が健康な田んぼの収量よりもたくさん収穫したんですよ。そりゃびっくりしましたね。これまではまったく商品にもならず、全て廃棄していたれんこんが全部お金になったんですから。このときは自分より親父の方がびっくりしていたかもしれません(笑)。

 

通常のコストの3倍の資料で収量・味とも良質に進化

周りからは「コストを3倍もかけて、売上落としてまで何してるんだ」と変な目で見られていたと思いますよ。見ただけでも、こちらのれんこんの葉はほかの人のものより50センチ以上も低いうえに葉っぱも小さかったですから。ただ、実際は収量も味も、使えば使うほど良くなっていたんです。

とにかく1年目で病気は98%治りました。レンコンにすごくマッチした資材だったんでしょうね。試験場でれんこんを分析してもらった結果、中身は通常の3倍ほど密度が詰まり、味も美味しくなったと言われました。

肥料を替えながら3年間、国際有機公社の言われたとおりにやってきました。土が良くなると、れんこんが掘りやすくなっていくんです。掘るスピードも速くできるので、仕事も早く終われるようになりました。

 

知識と経験から導く質のいい野菜づくり

今、加賀野菜ブランドのひとつとして加賀れんこんも周知されてきたのですが、本当にうちのれんこんは食べたら全然違うんです。子どもでもわかるくらい美味しい。有名店の料理長もわざわざ足を運んでれんこんを買いにきてくれるほどですから。

加賀れんこんは質と味が良くないと意味がない。部会では皆でいいものを作ろうと勉強会も開くのですが、吉田さんに来てもらったときに「メーカーの宣伝だ」と思う人と、「勉強していこう」「使ってみよう」と思う人に分かれるんですね。いいところを吸収しようと思う人は、勉強会を境にどんどん伸びていくのがわかります。

 

いい土を作ることがいいれんこんを育てる

吉田さんは、自分の会社の資材でないものもどんどん勧めてくれるのがいいんですよ。言うことを聞けば、何年後かに必ず返ってきます。うちは長い年月をかけてやってきたおかげで、今とてもいい土の状態が維持できています。

若い人たちは「どうしたら早く掘れるか?」とよく聞いてくるんだけど、まずは土づくりからしないとだめだと教えています。いい土は土の固さ違うんですよ。

これから国際有機公社に求めること? ポーマンがもう少し値段が安くならないかなとは思うんだけどね。でも値段には必ず理由があるのだろうからそれはしょうがないと思ってます(笑)。

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