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土壌微生物と酸化還元電位(ORP)活動範囲

2026.03.14 お知らせ

 図は、土壌や発酵環境における「酸化還元電位(ORP:Oxidation-Reduction Potential、単位:mV)」と、各種微生物が最も活発に増殖・活動する好適な電位範囲との関係を示したものです。

酸化還元電位は、その環境における酸素の有無や電子のやり取りのしやすさを示す重要な物理化学的指標です。プラス(+)に大きいほど酸素が豊富で「酸化的(好気的)」な環境であり、マイナス(-)に大きいほど酸素が乏しく「還元的(嫌気的)」な環境であることを意味します。図が示す通り、微生物はその生理的特性(好気性・嫌気性)によって、活躍できるORPの範囲が明確に異なります。

1. 酸化的環境(高ORP域:+100 mV 〜 +400 mV)を好む微生物

  • 納豆菌・枯草菌・麹菌・菌根菌
  • 酸素を豊富に必要とする好気性の微生物群です。納豆菌や枯草菌は、落ち葉などの有機物を強力に分解する役割を担います。また、植物の根圏で共生するアーバスキュラー菌根菌などもこの領域を好みます。通気性や水はけの良い、健康な畑作土壌の環境がこれに該当します。

2. 微酸化的〜微還元的環境(中ORP域:-100 mV 〜 +100 mV)を好む微生物

  • 酵母菌・乳酸菌
  • 酸素が少ない環境でも活動できる通性嫌気性の微生物群です。土壌中の酸素が消費され、やや還元的な状態に傾いた際に、発酵プロセスを通じて有機物を分解し、アミノ酸や有機酸を生成します。これらの代謝産物は、他の有用微生物の餌となるほか、特定の病原菌の増殖を抑える効果も持ちます。

3. 還元的環境(低ORP域:-200 mV 〜 0 mV)を好む微生物

  • 光合成細菌・偏性嫌気性菌
  • 酸素の存在を嫌う、あるいは酸素がない環境で特異的な代謝を行う微生物群です。水田のような湛水(水没)状態の土壌や、排水性が悪く酸素が遮断された土壌深部などがこの領域に該当します。メタン生成や硫化水素の発生などを伴う嫌気分解が進行する環境でもあります。

まとめと農業・環境管理への応用 この図は、土壌の水分量や通気性(物理性)を変化させることでORPが変動し、結果として「土壌内で優占する微生物群集が劇的に交代する」というメカニズムを視覚化しています。 例えば、畑の排水性を改善してORPを上げれば菌根菌や枯草菌による有機物分解と根の成長が促進されます。逆に、意図的に湛水してORPを下げれば(土壌還元消毒など)、好気性の病原菌を抑制し、特定の嫌気性微生物を働かせることが可能です。このように、ORPの把握は、目的に合わせた精密な微生物マネジメントを行う上で極めて重要な指標となります。

ポーマン-Lは、希釈倍率や使用量により微生物マネジメントに関与します。